かに鍋にはズワイ?タラバ?

 かに鍋、タラバとズワイのどちらを入れたほうが美味しいのか悩みませんか?結論から言うとかに鍋で美味しいカニはズワイです。ズワイガニは鍋に向いているカニです。

 もちろんタラバでもかに鍋はできます。ただタラバは身の性質丈、鍋にするよりも、ボイルをそのまま食べるほうが美味しいカニです。タラバとズワイの身には、それぞれ特徴があります。なぜズワイの方がかに鍋に向いているのでしょう。

 ここではタラバとズワイの身の違い、ズワイの方がかに鍋に向く理由と、かに鍋に合うスープや食材まで詳しくお話していきます。

ズワイとタラバの特徴、ズワイの方がかに鍋に向いている理由

ズワイガニ?タラバガニ?


 ズワイの方がかに鍋に向いている理由を挙げていきます。

生ズワイは生タラバに比べ、流通量が多く手に入りやすい

 カニは火を通すほど旨みがどんどん抜けてしまいます。そのため、かに鍋には1回火が通っているボイルより生のカニを使う方が断然旨みが濃くなります。生のタラバは通販でも扱う業者が稀で、流通量が少なく手に入りづらいカニです。その点、生のズワイはスーパーや通販で簡単に手に入れることができます。

ズワイは火を通しても硬くなりにくい

 タラバは縦歩きも横歩きもできるため、他のカニと違って筋肉が多いカニです。その筋肉が鍋で火を通すことによって硬くなります。比べてズワイは横歩きのみしかできません。そのため筋肉がタラバより少なく、火を通しても柔らかいのです。

 また、ボイルしたカニは1回火が通っているため、すでにタラバの身には弾力があります。その身をまた鍋で火を通すと、タラバの特長である噛み応えのある弾力を通り越して、硬さに変わってしまうのです。

ズワイの殻は突起がなくツルツルしているが、タラバの殻はボツボツ

 カニは殻からも美味しい出汁がでるので、かに鍋には殻付きのカニを入れると旨みが出ます。その時気になるのが「殻」です。ズワイの殻はツルツルしているのでスムーズに殻から取り出すことができますが、タラバは見ての通り、殻にボツボツした突起がいくつもあります。熱々の上ボツボツとした殻が痛いと、身を取り出すのが大変。

ズワイは濃厚で甘みがあり、タラバは淡泊であっさり

 では味はどちらが美味しいのか?もちろん好みにもよりますが、タラバは一般的に淡泊で大味です。身が大きいので食べ応えがありますが、あっさりしているのでポン酢や柚子胡椒など、味にアクセントをつけて食べる必要があります。

 比べてズワイは元々塩気があり、味も濃く、そのまま何もつけずに食べても美味しい。火を通すことで旨みが出汁にも溶け出るので、締めの雑炊までカニの旨みを堪能できます。

かに鍋にはズワイのハーフカットとポーションどっちがいい?

ハーフカット&ポーション


 かに鍋用に販売されているズワイに、半分殻を残したハーフカットと殻が向いてあるポーションタイプの2種類があります。

 ハーフカットは鍋に入れると殻からも旨みが出るので、かに鍋には最適。また、殻は半分だけなので力を入れて剥く必要もなく、小さなお子さんでも簡単に取り出すことができます。

 ポーションタイプは繊維が柔らかく甘みがあるのが特長。あまり長く煮過ぎず、かにしゃぶの様にさっと湯通しして食べると、プリプリした食感が楽しめます。

かに鍋のスープは何味が一番ズワイを引き出せる?

かに鍋のスープ


ミナコ ズワイからはいい出汁が出ますが、もっと美味しく食べるためにはスープにもこだわりたい。カニの味をシンプルに楽しむなら基本の昆布だしが一番。ここで美味しいだしの取り方を簡単にご説明します。

  1. 鍋に水を入れ、切り目を入れた昆布を2~3時間つけておく
  2. 鍋を火にかけ沸騰寸前で昆布を取り出す
  3. 薄口しょうゆとみりん、酒少々、塩をひとつまみ

 これだけです。お好みでかつおだしを足してもいいし、時間がない時は市販のかに鍋専用スープや白だしを使っても美味しく食べられます。スープは多めに作っておくと、煮詰まってきた時や雑炊の時に少し足して使えます。昆布は水1リットルに対し15グラム程度。大きさとして15~20センチが目安です。昆布は洗わずに表面の汚れを軽く拭く程度で大丈夫です。

鍋に入れた昆布はどうする?

 鍋に入れた昆布って、その後どうしていますか?「沸騰直前に取り出す」「入れっぱなし」どちらでしょうか?昆布は加熱し過ぎると「ぬめり」が出ます。そのため、透明なお吸い物を作る場合は、出汁を濁らせないように取り出す必要があります。

 では鍋は?湯豆腐やおでんには昆布は入ったままですね。取り出すか取り出さないかは「好み」のようです。入れたままにして具材と一緒に食べるなら、小さく切って入れるといいかもしれません。

かに鍋でズワイを投入するタイミング、取り出すタイミング

ズワイを入れるタイミング


 スープの準備ができたら早速具材を投入していきましょう。ここで悩むのがズワイを入れるタイミング。カニは煮過ぎると旨みが抜けてパサパサになってしまうので、ズワイを入れるタイミングは具材に火が通ったあとです。

  1. 火が通りにくい野菜(人参、白菜の芯)
  2. 豆腐、しいたけやしめじ、えのき、水菜や白菜の柔らかい部分
  3. ズワイ

 そろそろ具材に火が通ったな、というタイミングでズワイを入れます。ポーションならふっくらしてきたらすぐに取り出し、プリプリの状態でいただきます。ハーフカットも同様、透明なズワイの身が白くなってきたら、野菜より先にズワイをメインに食べて下さい。

 このタイミングを逃すと、ズワイの旨み成分が抜けて身がパサパサになってしまいます。また、カニを入れて沸騰した時点でお酒を少し足すと、カニの臭みを消してくれます。

凍ったままのズワイを鍋に入れるのはNG

 冷凍庫から出したばかりの凍ったままのズワイを、いきなり鍋に入れるのは避けてください。急に温められたズワイからは表面を覆っていた氷の膜(グレース)が溶け出し、臭みがスープにうつります。もちろん身は硬くなってしまい残念なかに鍋に…。鍋に入れるのは半解凍の状態で。ゆっくりとズワイに火が通り、プリプリになります。

購入したカニの解凍方法

 一般的に通販で売られているカニは冷凍が大半を占めています。ズワイの解凍は室温ではなく、冷蔵庫でゆっくり時間をかけて行ってください。室温で解凍するとと、旨み成分が流れ出て身がパサパサになってしまいます。解凍時間はカニの大きさにもよりますが、殻付きのズワイの足は約12時間かかります。

 カニは殻が付いた状態でも空気に触れると乾燥します。乾燥を防ぐため新聞紙にくるんでからビニール袋かラップで包み、冷蔵庫で解凍すれば万全です。ハーフカットのズワイも同様。余裕をもって前の晩からゆっくり解凍し、半解凍くらいで鍋に入れるのが理想的。鍋に入れるなら下茹では不要です。

 殻なしのポーションタイプはゆっくり解凍するのではなく、流水で解凍します。かに鍋に入れる分だけのカニをジッパー付きの袋に移し替え、水を張ったボウルに入れ、水道水を細く流し続けます。5~10分ほど様子を見て、袋の上からカニを触ってみたときに、中心だけ硬い半解凍の状態になったらOKです。

カニを持つミナコ

 生のカニは時間が経つと黒くなってしまうことがあります。これは「黒変」と呼ばれ、味や品質に問題はありません。ただ、やはり見た目は良くないですね。火を通していない生のカニは酸化しやすいので、解凍したカニを長時間放置することは極力避けましょう。

ズワイと合う鍋の具材、合わない鍋の具材

ズワイに合う食材


 メインのズワイを引き立てるために、合う具材と合わない具材を挙げていきます。

ズワイと相性のいい鍋の具材

 鍋に欠かせないのが白菜。味の染み込みも良くズワイとの相性は抜群。他にも水菜、長ネギ、にんじん、といった定番の野菜に加えしめじ、えのき等のキノコ類。春雨、くずきりはズワイを入れる直前くらいに鍋に入れるのがベター。豆腐は好みにもよりますが、一般的には絹豆腐の方が味が染みやすく、舌触りも滑らかです。

相性の悪い鍋の具材

 勢いで肉類も入れてしまいそうですが、肉を入れるとズワイが負けてしまいます。どうしてもボリュームが欲しい時でも、白身魚や鶏つくねくらいにしておきましょう。あくまで主役はズワイです。野菜類もキャベツは甘みが出るため、もつ鍋などの味の濃い鍋には合いますが、かに鍋にはやや不向き。春菊も香りが強いので避けた方がいいでしょう。

ミナコ かに鍋の締めはやっぱり雑炊。うどんも美味しいですが、ごはんの方がカニの旨みをたっぷり吸ってくれます。かに専門店でも締めは雑炊が定番ですね。少しカニの身を別皿に残しておいて、玉子を落とした雑炊に混ぜたら贅沢なカニ雑炊が楽しめます

かに鍋のズワイを満喫できる量は1人何グラム?

家族でかに鍋


 かに鍋のズワイを満喫できる量はどれくらいなのでしょうか?通販で購入しようと思うと大抵はキロで表示されています。では1キロってどれくらいの量?せっかくのかに鍋、ズワイをお腹いっぱい食べるにはどのくらい買えばいいのでしょうか?

人数分ポーションハーフカット
ズワイ1人分の量700~800グラム800グラム~900グラム
ズワイ2~3人分の量1.5キロ1.8キロ
ズワイ4~5人分の量3キロ3.3キロ

 

指を立てたミナコ かに鍋で1人前のズワイの量は500グラムが目安と言われています。上の表はズワイをがっつりメインとして満喫できる量になります。ハーフカットの場合は、殻の分だけ食べる量が減るので、ポーションタイプより少し重くなります。

まとめ

  •  ズワイは火を通しても硬くなりにくい
  •  ズワイの突起はは滑らかなので剥くときに痛くない
  •  ズワイは甘くて繊細な味
  •  ズワイの濃厚な味を楽しみたいならスープは昆布だし
  •  ポーションタイプやハーフカットなら食べやすい
  •  かに鍋に入れる具材はカニより主張の強いものは避ける
  •  締めは「冷やごはん」を使った雑炊

 かに鍋には濃厚で甘みのあるズワイがよく合います。ボリュームこそタラバにはかないませんが、カニ本来の味を存分に堪能するなら断然、ズワイです。最近は通販でも手軽に生のズワイを購入することができます。解凍の時間を考え、余裕を持ってかに鍋の前日に届くように指定すると安心です。

 ハーフカットやポーションタイプなら調理も楽でその上食べやすいため、小さいお子さんでも簡単に食べられます。この冬は家族でズワイのかに鍋はいかがでしょうか。心も体も温まりますよ。