毛ガニの産地に住んでいるけど、カニを食べる機会がずっとなかった父
私の地元は花咲ガニの産地である根室市の近くの、釧路市という所です。市場には花咲ガニだけではなく、たくさんの種類のカニが水槽に入って売られています。子どもの頃はいつかこのカニをどーんと父に買ってあげたいなぁとよく思っていました。
父は昔からカニが大好きだったのですが、私の家は決して裕福な家庭ではなかったので、家でカニを食べることなんて滅多にありませんでした。最後に家でカニを食べたのは私が小学生くらいの時だった気がします。お寿司やさんではカニのお寿司をよく父は食べていたのですが、1尾まるまるのカニを剥いて食べている姿はそれ以来見ていません。
そんな私の子どもの頃の野望が叶い、父の日にカニを買ったのは、私が大学に入ってバイトを始めた年の父の日でした。
【毛ガニ1.2キロ8,500円】市場で奮発し大きめのサイズを購入
それまで父の日に食べ物を贈ったことがなかったので喜んでくれるのか心配でした。けれど自分でバイトをするようになってから、父にいいものを食べさせてあげたいと思ったので、カニを買うことを決意しました。
その当時私は地元から離れたところにある大学に進学していました。父の日の週の土日にバスで6時間かけて地元に帰り、市場で2尾1.2kg、8,500円の毛ガニを購入しました。少し大きめのものだったので高かったのですが、せっかくなのでいいカニをと思い奮発しました。
毛ガニの贈り物に目を丸くする父、親が喜ぶ姿を見てなんだか嬉しい
家で父が帰ってくるのを待っていた時はすごくドキドキしました。カニをむくスプーンも購入し、あとはお刺身も何種類か買っておきました。帰宅した父はテーブルの上に置いた毛ガニを見て目を丸くしていました。まさか私がカニをプレゼントするとは思ってもいなかったようです。
父と母と弟とみんなで毛ガニを剥いて美味しく食べました。父はカニの味も好きみたいですが、家族みんなでこうしてカニを剥きながら色々な話をするのが楽しいみたいです。カニを食べると無口になる、とよく言いますが私の家族はカニを食べるとごきげんになり、楽しくたくさん話をします。
離れて暮らす父のキラキラの笑顔を見るのはとても嬉しかったです。親が喜んでくれる姿を見るのはこんなにも嬉しいものなんだ、と実感しました。私も就職し、これからはたくさん親孝行ができます。次はもっといいカニをプレゼントしたいです。カニ汁やカニクリームコロッケも作ってカニ三昧な夕食を父に食べさせてあげるのが私の今の目標です。